むし歯とは
日本人の歯を失う原因の2位がむし歯です。むし歯とは歯に菌がつき侵食していくことを言います。
誰もがなりやすい病気ですが、むし歯を軽視する人が多く、 ある程度侵食が進んでから通院される方が多いのも特徴です。
ですが、むし歯は早期発見、初期治療を行うことで痛みもなく簡単に終わらせることもできます。
むし歯になりやすい3つのポイント
1.歯磨きがうまくできない
歯磨きで取るのは歯垢です。
歯垢の中に細菌が存在し、中にはむし歯菌も沢山います。しっかり歯垢を落とすことができないと、飲食後にそれらの細菌によって酸がたくさん作り出され、唾液による再石灰化が追い付かなくなり、むし歯が出来てしまうのです。
まずは歯垢をしっかり落とすことが大切です。見落としがちな奥歯の溝・歯と歯茎の境目・歯の間の歯垢も、歯ブラシや糸ようじ・歯間ブラシで落としましょう。
2. 間食が多い
食事ごとにむし歯菌は糖分を素に、酸を作り出して歯の脱灰を進めます。3回の食事以外に間食をたくさんするという人はそれだけ、歯の脱灰が進みやすい環境になってします。
できれば歯の為にも、間食は控えること。そして、むし歯の原因になる糖分を控える事をお勧めします。もちろん、甘い飲み物も控えましょう。
3.遺伝的に歯質が弱い、歯並びが悪い
一般的に歯質(歯をかたち作る材質)や歯並びは遺伝すると言われています。歯質が弱ければ、むし歯菌に感染してしまった時により症状が出やすいですし、歯並びが悪いと磨き残しも増えてしまい、結果としてむし歯になりやすくなると言えます。
しかしながらむし歯菌として知られている「ストレプトコッカス・ミュータンス菌」は、生まれたての赤ちゃんの体内には存在しません。他人の唾液などがついた食器やキスを通じて感染すると知られており、感染しなければ歯質が弱くてもむし歯にはならないと言えます。
つまり、歯質が弱い・歯並びが悪いという遺伝的な要因は少なからずあるものの、むし歯菌に感染する機会が多く、むし歯によくなる習慣の人と似た生活をしているといった環境的な要因も大きいということです。
特に両親がよくむし歯になるという家庭だと、その子どもも両親と似た食生活・習慣になる可能性が高いので、見かけ上はまるでむし歯にかかりやすい体質が遺伝しているように見えるのです。
むし歯のメカニズム
お口の中には、むし歯の原因となる細菌であるミュータンス菌がいます。
ミュータンス菌は、糖分を餌にして増殖しながら「乳酸」を作り出します。この乳酸がたくさん作られてしまうと、歯は溶かされてしまいます。歯が溶かされて穴が開いてしまった状態のことを「むし歯(むし歯)」といいます。
飲食後、エナメル質が溶かされるという事を「脱灰」といいます。
唾液により溶かされた部分を元にもどそうとする働きを「再石灰化」といいます。
この脱灰と再石灰化が同じだけ行われている場合、むし歯はできません。しかし、間食などで、飲食の回数が多くなり、口腔内が酸性になる時間(脱灰の時間)が多くなると、再石灰化が十分に行われず、むし歯ができやすくなります。
むし歯の進行度
むし歯はその進行の度合いに応じ「C0」「C1」「C2」「C3」「C4」という段階に分けられています。
むし歯の治療は、むし歯の部分を削り取る治療になります。むし歯の部分を削り取ったら、そのままにしておくわけにはいかないので、むし歯を削り取って穴が開いた部分に、いわゆる「詰め物」や「被せ物」をして噛む機能を人工物で補う「修復治療」を行います。
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C0最初期:脱灰
自分では見つけられないほどの初期のむし歯です。 この状態では治療の必要がありませんが、 歯の表面を覆うエナメル質が溶けだしているので、 しっかりと自身でブラッシングをしておく必要があります。
そうすれば、人が本来持っている治癒能力で再石灰化して治すことができます。 -
C1初期:エナメル質のむし歯
歯の表面が黒くなりだしている状態です。 そのため、鏡で見やすい場所にできている場合は、自分でも見つけられます。
ただ痛みがほとんど伴っていないので、見えにくい場所にできた場合は、 自分ではわからないかもしれません。
ですが、この段階になると、治療が必要です。治療法:むし歯を削りレジンなどの修復材を詰めたり、フッ化ジアミン銀による進行防止をしたりします。
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C2中期:象牙質のむし歯
中期になってくると、冷たいものや熱いものを食べた時にしみるようになるので、 自分でもむし歯ができたかもと気づける段階です。
この時の歯の状態は、 エナメル質の下の象牙質までむし歯が進行しているので、C1の時よりも治療に時間も痛みも感じます。治療法:むし歯部分をしっかりと削り、詰め物もしくは被せものをして歯を保護します。
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C3後期:神経まで進行したむし歯
この段階になってくると、何も食べなくても激しい痛みを感じるようになります。
歯の状態としては、象牙質によって保護されていた歯髄(歯の神経)までむし歯が進行しているので、 治療も簡単には終わらせることはできません。治療法:むし歯が歯の神経のどこまで侵食しているのかにもよりますが、歯の神経を取り除く根管治療が必要な場合があります。 それが終わってから、クラウンを歯に装着させるのが一般的です。
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C4末期:神経まで進行したむし歯
この段階まで来ると、歯の痛みは感じられなくなっています。だからといって、 むし歯になっている状態だと気づかない人はいないでしょう。
すぐに歯医者に行くようにしてください。
歯の状態はというと、歯冠の大部分が崩壊し、歯の根までむし歯が進行して化膿しています。もし歯根の先端が可能しだすと、 激痛がくるようになります。治療法:元の歯を残さず抜歯します。その後、歯の神経をきれいに掃除してから、インプラント、ブリッジ、入れ歯などを入れます。
当院のむし歯治療の特徴
痛みに対する配慮を最大限行なっています
麻酔の前に表面麻酔を塗布し、麻酔液をゆっくりと注入することや、細い麻酔針を使用することなど、患者様にとって痛みが少なくなるよう細心の注意を払い治療を行っております。
可能な限り再治療にならないようにする配慮
歯1本1本に対して精密な治療をこころがけていることや、なぜなってしまうのかという原因の歯ブラシの指導も行うこと。
むし歯の治療は
神経を取らなくてもよいように・歯を失うことの無いように
できる限り早期に治療を終わらせてしまいましょう
むし歯治療の流れについて解説
検査と診断
治療
アフターケア定期検診
1.検査と診断
歯科医師が口腔内を検査し、むし歯の存在と進行度を確認します。必要に応じてレントゲン撮影や歯の触診などの診断手段を使用します。
2.むし歯の除去
歯科医師がむし歯部分を削り取ります。
むし歯の進行具合によっては、歯の形成や強度を回復するために歯の形を整えることも行われます
3.歯の修復
むし歯を除去した後、歯を修復する方法が選択されます。一般的な方法には以下のものがあります。
詰め物(コンポジットレジン)の使用
インレー(部分的な被せ物)装着
クラウン(被せ物)の装着
4.最終仕上げ
歯科医師が治療箇所を整え、適切な咬合(かみ合わせ)を確保します。
必要に応じて調整や研磨を行い、自然な見た目と機能を回復させます。
5.アフターケアと定期検診
むし歯治療後は、適切な口腔ケアと定期的な歯科検診が重要です。
定期的な検診によって治療箇所の状態を確認し、再発や合併症の早期発見・予防が可能となります。
*神経までむし歯が達している場合は…
むし歯が深く、神経まで達しているは、神経の治療をしなければなりません。
神経の治療は数回かかりますので、何度か来院していただくこととなります。
神経の治療を途中でやめてしまうと、症状を悪化させてしまい、最悪の場合抜歯をしなければいけなくなりますので、必ず最後まで治療をしてください
歯の根の治療(神経を取る治療=根管治療)
歯の根の治療(神経を取る治療=根管治療)は、深いむし歯などで歯の神経を取ったあと、神経が入っていた根管をきれいにして、根の先まで薬を入れる処置です。
根管治療は、被せ物などの土台になる根の治療なので、歯を残すためには最も大切な処置です。
しかし、根管は歯の種類によっては形も複雑で、手探りの作業になるため時間を掛けて歯の根の治療(根管治療)を行わないと、根の先まで完全にきれいにできず、 後になって根の先に病気ができてしまうこともしばしばあります。